働き方改革とともに変化する意識と現状〜意識調査・動向調査〜
厚生労働省が「2019年社会保障に関する意識調査」の結果を公表しました。社会保障制度への関心や情報を得る手段、給付と負担の水準などに関する意識を調査しています( 有効回答8,219人、有効回答率71.2%)。
また、帝国データバンクが「全国企業『後継者不在率』動向調査(2021年)」の結果を公表しました。
この二つの調査をもとに、働き方改革とともに変化する意識と現状についてみていきましょう。
社会保障制度に対する意識
社会保障制度に対する意識では、老後の生計を支える手段として1番目に頼りにするものは「公的年金(国民年金や厚生年金など)」(55.9%)が最も多く、次いで「自分または配偶者の就労による収入」(26.2%)となっています。
年齢階級別にみると、若い世代では「自分または配偶者の就労による収入」が最も多く5割弱を占めていますが、年齢階級が上がるにつれて「公的年金(国民年金や厚生年金など)」の割合が多くなり、70歳以上では8割を占めています。
今後充実させる必要があると考える社会保障の分野(3つまで回答)は、「老後の所得保障(年金)」 (67.1%)が最も多く、次いで「老人医療や介護」(50.1%)、「医療保険・医療供給体制など」(37.4%)、「子ども・子育て支援」(29.4%)の順となっています。
すべての年齢階級で「老後の所得保障(年金)」が最も多くなっていますが、次いで多いのは、 39歳以下では「子ども・子育て支援」、40歳以上では「老人医療や介護」となっています。
社会保険料の負担水準に対する意識
現在の税と社会保険料の負担水準については、「生活にはあまり影響しないが負担感がある」(50.4%)が最も多く、次いで「生活が苦しくなるほど重い」(38.4%)が多くなっています。
ただし、1年間の所得階級別にみると、概ね所得階級が上がるにつれて、「生活が苦しくなるほど重い」の割合は低下し、「生活にはあまり影響しないが負担感がある」の割合が上昇しています。
今後の社会保障の給付と負担の水準については、「社会保険の給付水準を維持し、少子高齢化による負担増はやむを得ない」(27.7%)が最も多く、次いで「社会保障の給付水準をある程度引き下げつつ、ある程度の負担増もやむを得ない」(13.4%)、「社会保障の給付水準を引き上げ、そのための負担増もやむを得ない」(11.6%)の順となっています。
年齢階級別にみると、概ね年齢階級が上がるにつれて、「社会保障の給付水準を維持し、少子高齢化による負担増はやむを得ない」の割合が多くなっています。
企業後継者不在率が過去10年で最低に
全国・全業種約26万6,000社における後継者動向をまとめたもので、後継者が「いない」または「未定」とした後継者不在率は61.5%(16万社)と4年連続で低下し、調査を開始した2011年以降で最低となっています。
業種別にみると、全業種で前年を下回っていますが、比較的不在率が高いのは建設業(66.5%)、小売業 (63.7%)、不動産業 (62.8%)などとなっています。
また、先代経営者との関係性(就任経緯別) では、2021年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が38.3%と最も高くなっているものの、親族間の事業承継割合は緩やかに縮小してきており、代わって血縁関係によらない役員などを登用した「内部昇格」(31.7%) が増えてきています。