「多様な人材の活躍に関する調査」の結果からみえた、いまの状況と課題とは?
日本・東京商工会議所(ともに三村明夫会頭)は「多様な人材の活躍に関する調査」の集計結果を公表しました。
生産年齢人口の減少が進むなか、新型コロナウイルスの影響による雇用・就業環境の変化も踏まえ、女性・外国人・高齢者といった多様な人材の活躍に関する状況や課題などについて、全国の中小企業6,007社を対象に調査したものです(回答企業数2,939社)。
女性の活躍推進と男性の育休取得
女性の活躍推進への対応では、81.5%の企業が推進していると回答していますが、そのうちの約半数が「課題がある」としています。
課題の内容としては「幹部(管理職・役員)となることを望む女性が少ない」(44.2%)、「女性の管理職比率が低い(向上しない)」(40.8%)、「出産・育児を機に女性社員が辞めてしまう」(27.6%)が多くなっています。
また、「男性社員の育児休業取得の義務化」に対しては、「反対」とする企業が70.9%に達しており、業種的には「運輸業」(81.5%)、「建設業」(74.6%)、「介護・看護業」(74.5%)など、人手不足感の強い業種で高くなっています。
外国人材の受入れの状況
次に、外国人材に関しては、「受入れニーズがある」と回答した企業は48.7%と半数近くにのぼり、従業員規模が大きな企業ほど高くなっています。
このうち、特定技能外国人を「受入れている」もしくは「受入れに関心がある」と回答した企業は74.1%となっています。
外国人材の受入れにおける政府の支援策等では、「雇用等に関する手続きの簡素化」(50.2%)が最も多く、次いで「制度概要や受入れ企業の要件、手続きに関する情報提供」(38.2%)、「外国人材の受入れに関する相談機能の拡充(窓口相談)」(32.0%) などの順となっています。
高齢者の就業機会の確保における課題
2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法で努力義務となる70歳までの就業機会の確保については、提示されている5つの選択肢のうち、現時点でどの措置を講ずる予定なのかに関しては、「70歳までの継続雇用制度の導入」(56.4%)が最も高く、非雇用の選択肢である「70歳になるまで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」とした企業は17.4%にとどまっています。
また、70歳までの就業機会の確保に係る課題では、「本人の体力的な面や疾病等の面で難しい」(45.4%)が最も多く、次いで「労災の増加が懸念される」(31.9%)、「若い年齢層の採用や活躍の阻害になる」(29.5%)などの順となっています。
「ダイバーシティマネジメント」の発想で多様性を生かす
生産年齢人口の減少に伴って、今まで以上に活躍が望まれるのが女性や高齢者であり、それでも不足する労働力を外国人材で補おうとするのが、現在の日本の労働政策といえます。
しかし、その一方で量的な労働力確保ばかりに目を向けるのではなく、女性、高齢者、外国人といった多様な属性や価値観を事業に活かす「ダイバーシティマネジメント」の発想も重要とされます。
多様性を生かすことが新たな価値を創造し、事業の成長と企業の発展を促すことになるというわけです。