【コロナ禍による女性雇用は国際的問題に】いまの現状と求められている対策とは?
新型コロナウイルス感染症の収束の兆しもみえないなか、女性を取り巻く状況が厳しさを増しています。
女性に対して一体どのような影響を及ぼしているのでしょうか。
ジェンダー格差による女性の雇用悪化
急激な経済情勢の悪化により、緊急事態宣言に踏み切った昨年4月の女性雇用者数は男性の2倍以上の前月比74万人減となり、以降も7月まで減少傾向は続きました。
コロナショックにより、飲食業や宿泊業など女性の就業率が高い業種が打撃を受け、とりわけ非正規雇用率の高い女性が真っ先に解雇や雇い止めに追い込まれるなど、ジェンダー格差が浮き彫りになったといえます。
女性の非正規化・非労働力化が進む理由
さらに、NHKと労働政策研究・研修機構の共同調査によれば、昨年4月以降、失職した人のうち再就職を果たした人の割合は、男性75%に対し、女性は61%にとどまっています。
再就職できた女性も3割は、非正規化(正規→非正規)しており、また、積極的に仕事を探さない「非労働力化」が、子育て中の女性で進んでいるとされています。
学校や保育園の休校・休園、在宅勤務の普及などにより増えた家事や育児の負担が女性に集中し、家庭生活と仕事の両立が難しくなっていることが窺われます。
コロナ禍による女性の自殺者率の増加
解雇や雇止めによる収入減といった経済的な問題、コロナ禍による生活環境の変化、育児負担増やDVなどの家庭内問題など、さまざまな要因から女性の自死も急増しています。
昨年7月から10月までの女性の自殺者数は2,831人(暫定値)と前年同時期比で4割以上の増加となっています。
新聞報道によれば、昨年4月、国連のグテーレス事務総長が「女性と女児をコロナ対応の取り組みの中心に」と各国政府に呼び掛けており、もはや女性へのコロナ禍による打撃は国際的な問題になっています。
政府も新型コロナ感染拡大の女性への影響を議論する有識者研究会を立ち上げ、休校・休園の判断において女性・子供への影響に最大限配慮することや、ひとり親家庭への支援強化といった緊急提言を行うなど取組みをスタートさせていますが、雇用・労働の観点からは、女性の雇用の質的転換が求められているといえるでしょう。