全世代型社会保障改革の方針を閣議決定。その内容とは?
令和3年12月、全世代型社会保障検討会議の最終報告「全世代型社会保障改革の方針」が閣議決定されました。その内容とは、どういったものなのでしょうか。
少子化対策や医療に関する改革
「全世代型社会保障改革の方針」の最終報告には、少子化対策や医療改革等について盛り込まれ、現役世代の負担に配慮し、高齢者に負担を求める内容になりました。
令和元年12月の中間報告では、年金や労働に関する内容で、今回の最終報告では少子化対策、医療に関する改革がまとめられました。
【少子化対策】
- 不妊治療の保険適用
- 待機児童の解消
- 男性の育児休業取得促進等
【医療改革】
- 医療提供体制の改革
- 後期高齢者の自己負担割合の見直し
- 紹介状なしの大病院外来受診時の定額負担拡大等
後期高齢者(75歳以上) の医療費の自己負担割合の見直し
焦点となった後期高齢者(75歳以上) の医療費の自己負担割合の見直しにも、一応の決着がつけられました。
見直しの内容は、現在の1割負担から2割負担になり、課税所得28万円以上の単身世帯、かつ年収200万円以上(複数世帯で320以上)の場合の後期高齢者が対象となります。数にして370万人ほどで、すでに現役並み所得者として3割負担となっている場合は対象外です。
実施時期は2022年度後半で、施行後、3年間は1カ月の負担増を最大でも3,000円に収まるよう経過措置が導入される見通しです。
今回の自己負担割合の見直しにより、2025年度の後期高齢者支援金は840億円(現役世代一人当たり年800円)削減されますが、2022年以降、団塊の世代が後期高齢者に移行するため、後期高齢者支援金(現役世代からの支援金)の急増が見込まれます。
団塊の世代が75歳以上になる2025年まで急増し、その後、横ばいとなるものの、その間も少子化の影響で現役世代はますます減少していくため、 焼石に水と評する研究者もいます。
全世代型社会保障検討会議での議論は、 当初から税制改正等を前提としないものとしてきましたが、持続可能な社会保障制度を目指すのであれば、その裏付けとなる税制改正等と一体的な議論が必要になるといえるのではないでしょうか。