テレワークをしている在宅勤務の社員から、通勤時間分、始業時刻を早めたいと連絡がありました。
少し前にも同様に在宅勤務者から、子どもの学校の関係で午後に2時間ほど、いわゆる「中抜け」し、その分、終業時刻を2時間遅らせたいが構わないか、という問い合わせがありました。
これまでは、個別に認めてきましたが、こうしたルーズな働き方で法律的に問題はないでしょうか。
テレワークの大きな課題
テレワークの大きな課題・問題の一つとして挙げられるのが、労働時間管理の難しさや煩雑さです。
在宅勤務に慣れてくると、従業員も働く時間と私生活の時間との時間帯も含めた最適バランスを考えるようになり、「中抜け」や始業・終業時刻の繰上げ・繰下げなどさまざまな要望が出てきて、勤怠管理や給与計算が煩雑になることが悩みになったりします。
在宅勤務においても当然、労働基準関係諸法令の適用がありますが、ここでは労基法上の基本的な事項にとどめます。
就業規則への記載で勤務時間を柔軟に
まず、ご質問にあった、テレワークによる在宅勤務での始業・終業時刻の変更を可能とするのであれば、その旨を就業規則に記載する必要があります(労基則5条1項2号)。
次に「中抜け」ですが、これを認めることに何ら法的問題はありません。
ただし、労働時間に含めない以上、その中抜け時間について業務指示などは行わず、休憩時間と同様に従業員が業務から離れて自由に利用することができる時間とする必要があります。
この場合、労使協定を締結すれば、時間単位の年次有給休暇として取り扱うこともできます。
フレックスタイム制の導入も検討
ご質問では、労働時間管理がルーズになることを懸念されているようですが、可能であればフレックスタイム制の導入を検討されてはいかがでしょうか。
もちろん、各従業員の労働時間の把握を適切に行う必要があることは変わりませんが、従業員が始業・終業時刻を自ら決定し、生活と仕事の調和を図りながら働ける会社としてモチベーションアップになることも考えられます。
社労用語じてん 「VDT症候群」
パソコンなどのディスプレイを長時間使用することによって引き起こされる疾病の総称。
具体的には、目の酷使、長時間同じ姿勢をとることで起こる、血流不良や目・身体の不調による心的ストレス等を原因とする、目の乾き/視力低下(視覚系)、肩凝り/手指のしびれ(骨格筋系)、イライラ/不安感/睡眠障害(精神・神経系)などの症状があります。
厚生労働省では、VDT作業者の心身の疲労の軽減を図るため、2002年に「VDT労働環境のためのガイドライン」を策定し、作業場所の明るさやパソコンの設置位置、作業の姿勢、作業時間管理(連続作業時間・作業休止時間)などについて定めています。
コメント