データバンク~2021年春季労使交渉の結果やトップ・マネジメントの意識について~
例年、春季労使交渉の結果等を見ると、その年の関心事やマネジメントの傾向をうかがい知ることができますね。
日本経済団体連合会(経団連)が「2021年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」 結果を公表しました。
1969年からその年の春季労使交渉協議の結果や、人事労務に関するトップ・マネジメントの意識・意見などを調査しており、経営側の春季労使交渉の指針である「経営労働政策特別委員会報告」の重要な参考資料として活用されています。
テレワークが議論の中心事項に
2021年の春季労使交渉などにおいて、賃金以外で労働組合等と議論した項目では、「時間外労働の削減」と「年次有給休暇の取得促進」の2項目が上位なのは例年通りですが、2021年は「テレワーク (在宅勤務制度やサテライトオフィスなど) の導入拡充」が春季交渉、春季交渉以外ともに最も多くなっています(図表1)。
また、賃金以外で最も重視した項目でも、「テレワーク在宅勤務制度やサテライトオフィスなど)の導入・拡充」が、春季交渉では13.8%と「時間外労働の削減」(14.4%)に次いで2番目に多く、春季交渉以外では21.4%と「時間外労働の削減」(18.4%)よりも多く、1番となっており、関心の高さが窺える結果となっています。
テレワーク等の柔軟な働き方の推進では、約9割の企業が「推進している」と回答しており、具体的な導入済み(予定を含む)施策の内容では、「テレワーク制度(在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務)」が89.8%と最も多く、次いで「時差出勤」(76.5%)、「フレックスタイム制」(71.8%)の順となっています (図表2)。また、拡大予定の施策でも「テレ ワーク制度(在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務)」が80.3%で最も多くなっています。
次世代を見据えた多様な働き方へ
ポストコロナを見据えたテレワークの活用方針では、「部門・職種の特性等に応じて、各社員がテレワークと出社を選択できる働き方を推進していく」(60.4%)が最も多く、次に多かった「一定の基準 (月の上限回数等)を設定した上で、推進していく」(20.9%)とを合わせて8割以上の企業がテレワークと出社を組み合わせて活用していく考えを示しています。
一方、「テレワークを中心とした働き方を推進していく」(3.0%)、「オフィスや現場等への 出社を基本とする」(8.1%) などは少なくなっています(図表3)。
なお、テレワークを活用する効果で重視しているのは、「育児や介護と仕事の両立支援」が58.3%で最も多く、次いで「エンゲージメントの向上」(51.7%)、「パンデミックや大規模自然災害対策(BCP対応)」 (43.7%)、「業務のデジタル化の推進」(41.1%)の順となっています。
テレワークに関する手当・一時金の支給については、「支給していない」が6割を超えており、「支給している」は3割強となっています。支給している企業では「3,000円以上~5,000円未満」が52.1%と過半数を超え、「3,000円未満」が約3割となっており、一度限りの支給が大勢を占めています (図表4)。