実務相談 ~任意継続被保険者制度の改正内容はどのようなものですか?(健康保険法)~
Q:今年6月に成立した改正健康保険法についてお聞きします。
Q:今年6月に成立した改正健康保険法についてお聞きします。
全世代型社会保障改革の一環として後期高齢者の医療費窓口負担割合に変更があったことや、育児休業中の保険料の免除要件が見直されたことは、新聞報道などで知っています。
任意継続被保険者制度についても改正があったと聞きました。来年には会社を退職する予定にしていますので、改正内容が気になっています。ご教示ください。
A:任意で資格喪失が可能に
A:任意継続被保険者制度は、健康保険の被保険者が退職した場合、その後引き続き最長2年間、退職前に加入していた健康保険の被保険者になることが選択できる制度です。
この制度は、大正15年の健康保険法施行時からある制度で、解雇退職に伴う無保険状態の回避などが目的でした。
現在では、国民健康保険への移行に伴う保険料負担の激変緩和が実質的な意義になっていると言われています。
任意継続の加入要件・資格喪失事由
加入要件は、資格喪失の日の前日まで継続して2ヵ月以上、被保険者であったことです。
資格喪失事由は、
(ア)任意継続被保険者となった日から起算し2年を経過したとき
(イ)死亡したとき
(ウ)保険料を納付期日までに納付しなかったとき
(エ)被用者保険、船員保険または後期高齢者医療の被保険者等となったとき
となっています。
また、保険料は
①従前の標準報酬月額または
②当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額
のうち、いずれか低い額に保険料率を乗じた額を被保険者が負担します。
原則2年間は資格喪失ができなかった点が見直しに
このように、原則として2年間は資格喪失ができず、保険料も変わらない、という硬直的な点が今回の改正で見直されました。
令和4年1月からは、2年以内でも被保険者が任意で資格喪失できるようになります。
また、協会けんぽは対象外ですが、健康保険組合については保険料の算定基礎の例外が認められるようになり、組合の規約によって前記の①が②を超える任意継続被保険者について、①をその人の標準報酬月額とすることができるようになります。