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判例~巻込み事故で安全配慮義務違反を認定。その内容とは?~

    
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判例~巻込み事故で安全配慮義務違反を認定。その内容とは?~

製麺作業中に機械に手を巻き込まれて骨折等を負った従業員が、会社に対して安全配慮義務違反で負傷したとして、債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求等を求めた事件です。 裁判所は、製麺機の刃への物的対策や安全教育が不足していたとして会社責任を認めましたが、従業員に対しても不注意を過失3割として賠償額を減額しました。【 製麵会社A事件 旭川地方裁判所 (令2・8・31 判決) 】

安全配慮義務違反を認定された内容とは、どのような内容でしょうか。

安全配慮義務とは

労働契約法5条は「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めていますが、今回の判決ポイントの一つが安全配慮義務に関するものです。

安全配慮義務の内容については、 労働者の職種や労働態様などによって異なりますが、一般的には労働者が安全に業務の遂行が行われるように、使用者として予測可能な危険をなくすため人的・物的な条件を整える義務があるとされています。 

安全配慮義務違反の内容~使用者側~

今回の判例では、事故の状況についての従業員と会社との間で食い違いがありましたが、当該従業員のベルトコンベアでの作業中、製麺機から視線をはずし際に事故が起きたと裁判所は認定しています。

従業員は製麺機から切り出された麺を1玉分持ち上げ、両手で軽く握ってベルトコンベアの右側の折箱に詰める作業工程を担当。生地を帯状にした麺帯の入れ替えの際などに麺に縮れを付けるため、右手でのスイッチ操作と同時に、左手で製麺機の刃の真下部分まで手を伸ばし麺を押さえる必要がありました。

その後、製麺機から視線を外し、正面を見た状態で右手でスイッチを操作し、左手を製麺機の刃のほうに伸ばし刃に触れたことで、製麺機に巻き込まれる事故が発生したという内容でした。

裁判所は、従業員が事故に巻き込まれた製麺機には、常時、刃が露出しており、露出して上下する刃の真下に手を伸ばすという危険性のある作業であると認定し、従業員にそうした作業を行わせるに当たって、製麺機の刃にカバーなどを付けるといった物的な対策や、作業を行う従業員に対して十分に安全教育を実施するなどの安全配慮義務を負っていたにもかかわらず、これを怠ったとして、使用者側に安全配慮義務違反があると認められ、その義務違反の内容に照らし不法行為が成立するというべきであると判示しました。 

安全配慮義務違反の内容~従業員側~

使用者側の安全配慮義務違反が認められる一方で、もう一つのポイントは「過失相殺」です。

裁判所は、使用者側だけでなく、当該従業員が、その作業の危険性を認識することができたとし、事故発生時の「麺に縮れを付ける作業に当たり、視線を正面に向けたまま、左手を本件製麺機の方に伸ばしたのであり、危険性を有する作業であるのに、自らの手元を注視しなかったのであるから、注意を欠いていたといわざるを得ないし、その不注意が本件事故に寄与していることは明らかといわざるを得ない」と判示し、 その他の事情も考慮して、従業員の過失割合を3割と認定しています。

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