実務相談~令和4年10月からの後期高齢者医療における医療費の自己負担割合について~
現在、原則自己負担1割で、医療機関を受診することができる後期高齢者。令和4年10月1日から、年収により自己負担が2割に増える世帯があるのはご存知ですか?世代間の公平性の観点からも、必要とされる今回の自己負担割合の引き上げ。具体的な引き上げ基準を実務相談で見ていきます。
Q:扶養に入れている後期高齢者の母、令和4年10月からの自己負担割合はどうなりますか?
Q:現在、78歳の母を扶養していますが、少し前に後期高齢者の医療費について自己負担割合が引き上げられる人がいると聞きました。
母も高齢になるに従って、病院に掛かることも増えてきていますのでとても気になります。
制度改正によって自己負担割合が見直される対象者の範囲や、実際にどの程度、負担が増えることになるのか、ご教示願います。
A:年収200万円以上は2割負担になりますが、時限的な配慮措置もあります。
A:令和4年から「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になり始めるのに伴い、その医療費の増大が見込まれています。
現在、後期高齢者の医療費については、窓口負担分を除いてその約4割を現役世代が負担していることから、世代間の公平性を保つため令和4年10月1日から年収200万円以上の所得がある後期高齢者については自己負担が2割に引き上げられます。
現在、後期高齢者の医療費の自己負担は原則1割ですが、年収約383万円以上 (単身者、課税所得145万円以上) の現役並み所得者についてはすでに3割負担となっていますので、今回の改正で自己負担が2割となるのは、現在、自己負担1割となっている所得の上位者で、後期高齢者医療の被保険者全体の約2割(約370万人)とされています。
自己負担2割となる人の判定方法は次のとおりです。まず、3割負担の現役並の所得者と、基本的に1割負担となる住民税非課税世帯は除外されます。
次に、課税所得が28万円未満の場合には1割負担のままとなり、28万円以上の人の一部が2割負担となります。
2割負担となるのは、単身者であれば「年金収入+その他の合計所得金額」が200万円以上 の人、夫婦など2人以上世帯であれば「年金収入+その他の合計所得金額」の合計が320万円以上の場合です。
なお、自己負担が2割となる人には、配慮措置が設けられており、令和4年10月1日の施行後3年間(令和7年9月診療分まで)は、1カ月の外来医療の負担増加額は3000円までとされ、これを超えて支払った場合には差額が払い戻されることになっています。